みなさん、トビウオって知っていますか?
夏に旬を迎える魚ですが、その名の通り空中を飛ぶという不思議な生態で知られている魚です。実際に「飛ぶ」姿を見たことがありますが、あれはどうみても「飛んでいる」としか言いようのない奇妙な光景でした。
魚なのに飛ぶ理由は何なのか?そしてその仕組みは?
そんな不思議な特徴を持つ、トビウオについてとことん解説していきましょう!
トビウオが飛ぶ理由は?
トビウオは飛ぶと言っても魚なのでいつも空中を飛んでいるというわけではありません。
基本的には海の中で生活している、ごくごく普通の魚です。
ただ、空中を飛べる、ということを除いては…
まず、一般的に言われているのは外敵から身を守るためです。
トビウオに限らず、多くの生物の進化は環境や外敵状況が理由となっていることが多いので、トビウオも例外ではありません。
トビウオの天敵はマグロ、カジキ、サバ等の大型の回遊魚です。
マグロやカジキのような回遊魚は泳ぐスピードがとても速く、見つかったら逃げることができません。
そんな天敵から追われた時に、パッと鳥の羽のように胸びれを広げて海面から出て飛ぶのです。
他の魚が隠れたり、逃げまくっている時にトビウオは海面から出て飛ぶなんて!他の魚からしてみたら反則技のような方法で身を守っているんですね。
マグロはもちろん水面から出てきたりしませんから逃げる方法としては非常に効果的です。
敵から逃げるために飛ぶ、というのはあくまで一説で、他にも船などのエンジン音にびっくりして飛んだり、光に反応したり、また嬉しい!という気持ちを表現しているのではないか、というような説もあり、絶対にこれが正解だ!というものが今現在、あるわけではありません。
トビウオが空中を飛べるその仕組みは?
トビウオはダツ目トビウオ亜目トビウオ科ハマトビウオに分類され、北海道から沖縄までの広い地域や中国や朝鮮半島の日本近海にも多く生息している魚です。個人的には長崎県など西日本のイメージの強い魚だったので、これは正直言って、かなり意外でした。びっくりです。
中でも産卵のために岸に近づいてくる、九州や日本海の西側では比較的食卓になじみ深い魚です。
では、なぜトビウオは空中を飛ぶことができるのでしょうか?
まずトビウオの体を見てみるとその細さに驚きます。
体が細いのはもちろん空を飛ぶために体を極限まで絞っている、つまり軽量化しているからです。
トビウオは甲殻類のプランクトンなどの消化に良いものを食べますが、トビウオには胃がありません。
胃がなく、腸も短いため、食べたとしても短時間で消化して体外に排出しているのです。
そのおかげで体に余計な脂肪がつくことなく飛ぶことができるのです。
さらに、その細い体の中でも胸びれと腹びれが他の魚と比べると非常に大きく、発達しているので、それをうまく使って飛んでいるんですね。
だいたい、1回の飛行で飛ぶことができるのは80mと言われていますが、過去に45秒間飛び続けた、という記録も残っていますので、トビウオの飛行力はすごいですね。
トビウオって食べられる?あごだしとの関係は?
トビウオは飛ぶために体が細く、余計な脂肪がついていないとお話しましたが、ということは食用にはあまり向いていないの?という疑問がわくかもしれません。
美味しい魚を表す表現として、丸々とした、とか脂がよく乗っている、とかって聞きますもんね。
トビウオは細く引き締まった体をしていますが、新鮮ならお刺身でもおいしく食べることができます。
引き締まった身のお刺身っておいしそうですね。
でも、脂肪がついていないので煮魚には向きません。
加熱するとぱさぱさになって身が硬くなってしまうからです。
トビウオを食べたことがある人は全国的には、多くはないかもしれません。
でも「あごだし」はどうでしょうか?
最近美味しいと話題のあごだしですが、あごだしは実はトビウオの出汁だって知っていましたか?
九州など関西では昔からトビウオを「あご」と呼んでいて、だしとしておなじみです。
あごだしは、の鰹節や煮干しと比べると繊細で奥深く上品な味が特徴で、コクもあるので、だしの中でも高級品、かつおだしや昆布だし、煮干しだしと比べるとちょっとお高くなっています。
そんなあごだしは、トビウオ自体に脂肪分が少なく変な魚臭さがないので、どんな料理とも合いやすいと言われています。
中でも長崎のうどんは有名ですね。
和食であれば大体の料理であごだしが邪魔をすることはありませんので、ここぞ!という時にあごだしを使った料理をしてみてもいいのではないでしょうか。
まとめ
1. トビウオが飛ぶ理由は、マグロなどの天敵から逃げるため。身を守ることの手段として飛んでいる、とうのが一般的な説。
2. トビウオは極限まで体を絞って軽量化している。食べたものを体に残しておくといざというときに飛べないため、プランクトン等の餌を食べたとしてもすぐに体外へ排出される。
3. トビウオは脂肪が少なく煮魚には向かないが、新鮮であればお刺身は美味しい。
トビウオを使ったあごだしは上品な味でどんな料理にも合わせやすい人気のだしだが、かつおだしや昆布だし等の一般的なだしと比べるとちょっとお高い。
いかがでしたでしょうか?
トビウオが空中を飛ぶ理由、その仕組みについてお話してきましたが、実際に飛んでいるところなどを見てみたくなりました。
取り急ぎあごだしでも買いに行ってみようかな、と思います。
私が旅行で行った長崎県の平戸島の先にある孤島である生月島では「あごだしラーメン」なるものを食べました。
また、鹿児島県屋久島ではトビウオが丸々一匹乗ったラーメンを提供してくれる店があるとかないとか…