「シャコガイ」という貝はご存知でしょうか。
名前を知らなくても、熱帯域の美しいサンゴ礁や、それを模した水族館の水槽などで一度は目にしたことがあるかもしれません。
大きい種類では2mを超えることもあるシャコガイは、まだまだ広く知られてない秘密がたくさん!?
ここではそんなシャコガイの知られざる真実をお教えします。
この記事を読んだあとは、シャコガイを見る目が変わるかも?早速、特殊な生態や物知り情報をご紹介していきます!
その1「シャコガイは光合成で生きている?」
植物じゃないのに光合成で生きているってどういうこと!?と思いますよね。
シャコガイは普段、殻を完全に閉じないで、「外套膜」(ヒダの部分)の中央に空いた穴からプランクトンを摂取しています。しかし、栄養の摂取方法はそれだけではありません。
シャコガイは、外套膜の部分に「褐虫藻」という藻の仲間を住まわせています。
その褐虫藻が光合成によって作り出した、糖分やアミノ酸などの栄養分を得て生きているのです。
そのため、豊富な太陽光があればプランクトンを摂取しなくても生きていけるのだとか。「光を食べる貝」と呼ばれることもありますが、納得の生態ですね。
また、シャコガイは褐虫藻が効率よく光合成を行えるように、光を感じる細胞をたくさん持つという進化をしました。
その部分で光量などをうまく調整し、うまく褐虫藻に光が届くようになっています。素晴らしい共生関係ですよね。
その2「養殖真珠の核を作っているって本当?」
シャコガイはそれ自体が珍しく、アクセサリーにされることも少なくありません。
仏教の七宝のひとつ、「硨磲(シャコ)」としても昔から珍重されていました。
そして、他に貝から生まれる美しい「宝」として最も有名なのは「真珠」ですよね。
実はシャコガイは、養殖真珠の核を作るために利用されているのです!
もちろん、真珠の輝きを作り出すのはお馴染み「アコヤガイ」です。そして通常、養殖真珠の核として利用されるのは、他の真珠層を持つ貝(ボブガイなど)からとられたもの。
そして更に安価なものとして、プラスチックの核や、真珠層を持たないシャコガイからとられた核が利用されることもあるのです。
殻の大きなシャコガイは、それだけたくさんの核を造り出すことができます。
日本へ輸入される際は、養殖用の核そのものとして、またはシャコガイの核が入った養殖真珠として輸入されています。
その3「シャコガイによる事故って?」
「人食い貝」という不名誉な別名もあるシャコガイ。こちらは特に大きな「オオシャコガイ」を指してそう呼ばれます。
1960年代頃まではオオシャコガイに関する知識などが広まっておらず、「海中に潜った人間の手足を挟んで溺死させてしまう」だとか、「殺した人間を食べてしまう」といった都市伝説じみた話がまことしやかに語られていたようです。
しかし、実際にはシャコガイの仲間はほとんどが今いる場所から動くことはないので、もちろん貝が人を襲うといったことはありません。
また、シャコガイは殻の閉じるスピードはそう速くはありませんから、必要以上に警戒することはなさそうですね。
それでも、挟む力は非常に強いですから、好奇心で手足を突っ込んだりすると事故の危険がありますので気をつけてください。
また、シャコガイが引き起こした死亡事故というのは、日本国内では報告されていません。
しかし海外では、真珠採りのダイバーがオオシャコガイに足を挟まれ、命を落としてしまうということが実際に起きています。
自分から襲うことがないとはいえ、注意するのに越したことはありません。
その4「お刺身で食べられる?」
そんな危険で綺麗なシャコガイですが、沖縄などでは食用とされています!
お刺身や塩辛、バター焼きなど、食べ方は色々。他の貝と同じように食べられるのですね。
先ほどご紹介したオオシャコガイも、入手が難しいながら食べることはできるそう。
肝心のお味はというと、コリコリとした歯ごたえと、ほんのりとした甘みが特徴。ホタテなどと比べると主張は強くなく、控えめで上品なんだとか。
沖縄では特に人気が高い貝ですが、近年のサンゴ礁の減少で、天然物の漁獲量もそう多くないようです。それに伴い、養殖の研究もされているとのこと。研究が成功すれば、本州でも食べられるようになるかもしれませんね!
その5「絶滅が危惧されている?」
シャコガイは、見た目の美しさや珍しさで観賞用として、また食用として、そして真珠の核として様々に利用されています。
しかしそうした利用のために(とくに観賞用と食用として)乱獲されたこと、また、上でもあるように、シャコガイが生息するサンゴ礁の減少もあり、絶滅の恐れがあるとされ、オオシャコガイが絶滅危惧種に指定されてしまいました。
今はワシントン条約によって輸出入が規制され、保護されています。
このように環境問題と関わりがある希少生物となってしまいました。
まとめ
2. 安価な養殖真珠の核として、真珠層を持たないシャコガイが造った核が用いられることも!
3. 国内での死亡事故はないが、海外ではある。動きは緩慢だが挟む力が強いので注意!
4. 沖縄ではお刺身として食べられている。コリコリとした歯ごたえがと甘みが特徴。
5. 乱獲とサンゴ礁の減少で絶滅の危機に瀕している…。
色々な利用方法で大切にされてきたシャコガイ。絶滅が危惧されていますが、養殖の研究もされていますから、技術の発展によってその危機を脱することを信じましょう!
そしてダイビングなどで実際に見る機会があれば、よく注意しながら、その生態に思いを馳せてみてくださいね。