ますます寒さが厳しくなってきましたね。冬といえば美味しい食材、そしてあこがれの食材、ふぐの季節です。
ふぐの名産地、山口県ではふぐを「福」に通じるため「ふく」と呼ばれています。美味しくて食べて幸せ、「福」をもたらしてくれるふぐですが、そのからだには猛毒があることでも有名です。ふぐの学名は「4つの歯を持つ」という意味でテトラオドンと表記され、ふぐの毒の名称もこのテトラオドンから由来して「テトロドトキシン」とされています。
日本では毎年ふぐによる食中毒が発生し死亡例も報告されています。知っていれば防げる事故、食べる前には必ずふぐの毒についての知識をもつようにしてくださいね。それでは今回はふぐの毒についてご紹介します!
日本人に愛されるふぐ料理。食べられているのはどんなふぐ?
「ふぐ=高級」といわれていますが最近ではスーパーでも見かけることが多くなりました。実は食用として許可されているふぐは22種類と意外と多く、その中でも代表的なのがトラフグ、マフグ、ゴマフグです。
高級ふぐ料理といえば、使用されるのは天然もののトラフグです。最近では養殖による生産が増えたため私たちが通えるような一般料理店でも食べることができるようになりました。トラフグは鍋や刺身、から揚げ、どのように料理をしても美味しく楽しめる食材です。
マフグは産地によって「新潟ふぐ」「北海道ふぐ」などとも呼ばれていて、トラフグに比べて少し味が劣るのでふぐちり(鍋)に用いることが多いそう。
そしてゴマフグは、少し水っぽくてリーズナブルな種類のふぐです。旬が初夏のため、あまり市場に出回らないのですが石川県の伝統的な珍味「ふぐの子」は、卵巣を糠(ぬか)や粕(かす)で漬けたものでこのゴマフグが使われています。ふぐの卵巣には毒があり特殊な加工法を用いることによって毒を消しているのですが、どのような仕組みで毒が分解されるのかは分かっていないそうです。
ふぐによる食中毒について正しい知識を。肝は絶対に食べないで!
厚生労働省は食べることができるふぐの種類、部位、漁獲海域を定めていて、ふぐ料理は都道府県知事等が認めた専門のふぐ処理師により調理されたものしか提供してはいけないきまりになっています。
毎年、釣ったふぐを自分で調理したことによる食中毒や、知人からもらったふぐを食べ食中毒になるという事例が発生しています。厚生労働省のホームページには「ふぐの毒は塩もみ、水にさらす、加熱などの調理では、無(弱)毒化されることはない」と記載されています。せっかくだから、ちょっとくらい大丈夫だろうなんてことで済む話ではありません。素人調理は絶対にしないようにしてくだいね。
そしてこれも知っておいてもらいたいのですが、ふぐの処理ができる施設は「営業許可証」の「営業の種類」の項目に 「ふぐ」が追記されています。「営業許可証」は店の見やすい場所に掲示しなければいけないきまりになっています。外食したときは店頭でチェックしてくださいね。
ふぐ処理師になるためには…都道府県のホームページを見てみよう
ふぐ処理師の免許や資格は各都道府県が個別に定めているもので、その土地によって名称も「ふぐ調理師」「ふぐ取扱者」「ふぐ取扱登録者」など異なります。資格を取得するにはまずその都道府県の公式ホームページを確認しましょう。
私が住んでいる奈良県ではふぐ処理師の指導のもと、ふぐの処理に従事した経験年数が1年以上ある人やふぐ処理に関する基準に適合する課程を修了した人、都道府県知事等が行うふぐ処理実技を伴う講習会を受講者で、3カ月以上の処理経験を有する人などに受験資格があるようです。これをクリアし試験に合格すれば私でもふぐ処理師になれるということですね!ちなみに平成30年度の受験者数は19名で、そのうち12名が合格しているそうですよ。
資格を取る・取らないにかかわらず、各ホームページを見くらべてみると呼び名や講習の内容がそれぞれ違うのでとても面白いです。
まとめ
美味しいふぐ料理、食べたいですよね。少しの知識でも、知ることによってふぐをグッと近く感じることができました。
2. 種類や天然もの・養殖物にかかわらず、とにかくふぐの肝は絶対食べないで!
3. ふぐ処理師は各都道府県が管理している資格。どんな人でも資格取得は夢じゃない!
ふぐ料理屋さんで修行して、資格を取って、ふぐを釣って自分で調理する!なかなか実現するには長い道のりになりそうですが、そんな趣味ができるのも悪くないかもしれません。