「ラブカ」というお魚の名前、あなたは聞いたことがありますか?
ラブカ自体の化石は5000万年~8000万年前の地層で見つかっていますが、3億7000万年前に生きた最古のサメにも似た特徴を持つため、「生きた化石」とも呼ばれる深海サメなのです。非常に珍しいですが、実は日本で見られるチャンスも少なくありません。
ここでは「あの映画」に出てくる生き物のモデルにもなった、謎の深海生物「ラブカ」の生態や名前の由来をご紹介します!
古代魚のロマンを感じてみませんか?
ラブカの生態は?どこに住んでいる?
ラブカは太平洋や大西洋の急な斜面のある場所、水深500~1000mの海底に住んでいます。非常に珍しい魚ながら、昔から日本では駿河湾や相模湾で網にかかることがあり、今でも生きたまま網にかかったラブカがいると水族館で展示されることがあります。
カグラザメ目ラブカ科に分類され、全長は2mほど、体の後ろの方にヒレが集中しています。
肉食性でエサはイカやタコなどを食べていると言われます。
また、サメといえば妊娠する魚…ですが、ラブカの妊娠期間はなんと3年半と言われており、映画などで知名度の高いホホジロザメの11ヶ月~18ヶ月に比べてもかなり長いことがわかります。
「ラブカ」の見た目って…
深海魚はちょっと怖いお顔であることが多いですが、やはりラブカも、可愛いとは言えない見た目(お好きな方はごめんなさい)。口を開けた姿を横から見ると、笑っているようで愛嬌があるのですが…。
ラブカの外見で目立つのが、ヒダ状になった赤いエラ。通常のサメのエラは5列なのに対して、ラブカには6列あります。このエラで深海でも効率よく酸素を吸収できるようになっています。
口も、他のサメと違い顔の先端にあるため丸みを帯び、頭は少し平たいですね。この口の中にはエサを引っ掛けて食べるのに便利な、棘に覆われた歯がびっしりと並んでいます。この歯で手を噛まれたらもう抜けないかも!?と思うような、中々に恐ろしい形状です。
こういった特徴から、はじめてラブカを見ると中々サメだとは思えないかもしれません。古代のサメもこのような姿をしていたのでしょうか。
ラブカってどういう意味?名前の由来
「ラブカ」は漢字で書くと「羅鱶」。鱶(フカ)とはサメのことですよね。では「羅」はどこから来たのかというと、織物のひとつである「羅紗」のことです。
この羅紗、陣羽織やビリヤード台などに使われ、羊の毛を使ったウール製品のこと。表面は起毛しておりフェルト化しています。陣羽織は中々触れる機会はありませんが、ビリヤード台なら触ったことがある方はいるのではないのでしょうか。さらさら、ふわふわで気持ちいいですよね。
ラブカは、そんな羅紗に手触りが似ているため、そう呼ばれるようになったと言われています。サメなのにサメ肌じゃないなんて、驚きですよね。羨ましいです。
ちなみに、その見た目からウナギザメと呼ばれることもあります。途端に親しみやすい印象になりますね。ちょっと弱そう?
また、ラブカは英語で「Frilled Shark(フリルドシャーク)」といいます。これはヒダ状になったエラが、フリルのように見えるためにつけられたそう。たしかにグレーの体に、赤いフリルを身に着けているようにも見えます。ラブカは意外に?おしゃれ好きなのかもしれませんね。
シン・ゴジラの第二形態のモデルになった?
実はそんなラブカ、2016年公開の映画「シン・ゴジラ」に出てくる、ゴジラの第二形態(通称:蒲田くん)のモデルになったと、映画パンフレットにも書かれています。
ラブカの場合、エラの部分から何かが出たりはしません…が、見比べてみるとなるほど確かに似ています!
ラブカはどこで見られる?
先述の通り、駿河湾や相模湾で網にかかることがあるラブカ。
沼津港深海水族館(静岡県)では7日間の飼育最高記録もあり、展示される機会も中々多いようです。
ですがラブカは元々深海に住んでいるということと、水圧の変化に敏感なため、網にかかったときにはすでに弱っている…などの理由で展示期間は長くはありません。
気になる方はSNSなどを要チェックです!そして展示の情報があれば、なるべく急いで見に行きましょう!
食べられるの?どんな味?
上記の沼津港深海水族館のスタッフの方が、SNSでラブカを食べた様子をアップロードしていましたが、なんと結構おいしいのだとか。
刺身は真鯛のような味だとも言われています。機会があったらぜひ食べてみたいものですね。
まとめ
生きた化石、ラブカの生態はまだまだ謎に包まれています。珍しいために研究も中々進まないのだとか。飼育自体難しいようですが、技術の進歩を期待したいですね。
では、ラブカについてのまとめです。
2. 全長2mほどにもなる結構大きいサメ!妊娠期間はなんと3年半
3. ヒダ状のエラと細かい棘に覆われたような歯が特徴!
4. 名前の由来は羅紗のように滑らかな肌を持つから。見た目からウナギザメやフリルドシャークとも呼ばれる
5. シン・ゴジラの「蒲田くん」のモデルにもなったすごいやつ
6. 沼津港深海水族館でたまに展示されるので要チェック
7. 身は真鯛のようで意外においしい
おいしいらしいと聞くと、途端にラブカを身近に感じてしまうのは私だけでしょうか…。食べるのは難しそうですが、生きているラブカを見ることならチャンスがあります。気になる方は、ぜひ駿河湾&相模湾周辺の水族館の展示情報をチェックしてみてくださいね。