なんだか漠然と「川魚でしょ?」と思っていた魚たち、今回は混同されやすい「イワナ」と「ヤマメ」についてご紹介します。
これで、突然質問されても大丈夫!
渓流魚では大型!「イワナ」
「イワナ」は、分類としてはサケ科イワナ属の一種のことを指します。広義では近縁種を含めることも。
エゾイワナ、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギなどの亜種がいて、それぞれ生息している場所によって形態が変わります。昔はすべて別の種類だとされたことがあるほどの大きな違いがあるのです。
体長も、20cm程度~80cmほどにまで成長する種類もいるのですから面白いですよね。
一生を河川で過ごしますが、海に降りたものはアメマスと呼ばれます。
冷たい水を好むので川の上流域に生息しています。肉食性ですがかなり貪欲で、虫や小魚はもちろん、カエルやサンショウウオ、なんとヘビまで食べてしまうこともあるとか!
見た目の特徴としては、灰色の体の背中側にある白い斑点(白点)と、パーマークと呼ばれる小判型の模様が挙げられます。
次でご紹介するヤマメに比べると、イワナのパーマークはかなり控えめです。
渓流の女王「ヤマメ」
「ヤマメ(山女、山女魚)」とは、サケ科であるサクラマスのうち、海に降りずに一生を河川ですごすもののことをいいます。
イワナと同じく、水が冷たい場所を好むので川の上流にいることが多いですが、イワナも生息している川の場合、イワナがいる最上流域よりも下流にヤマメが住む…という棲み分けがなされます。
ですが、放流などの問題で混ぜこぜになってしまっていることも、最近では少なくないと言われています。
北は北海道、南は九州まで、幅広い地域でみられます。
全長は20cm程度に成長するものが多いですが、一度ダム湖などに降りる個体(戻りヤマメとも)は40cmほどまでになることも。
見た目の特徴としては、体の側面にある濃いパーマークが目立ちます。背中側には小さな黒い斑点(黒点)があり、また、側面を横切るような赤い線(赤帯)も見られます。背中側はすこし緑がかった色でとても綺麗。
さすが、「山女」とされるだけあって美しい姿です。味もよく、高級魚とされています。
ちなみに、繁殖期になるとピンク~赤の婚姻色が体やヒレに出てきますが、これもまたとても美しいので機会があれば見てみてくださいね。
イワナとヤマメの違いはここ!
さて、イワナとヤマメ、それぞれの特徴などをご紹介しました。では実際に見分けるときはどこを見ればいいのか、表をごらんください。
体の色 | パーマーク | 斑点 | 側線 | |
---|---|---|---|---|
イワナ | 灰色 | 薄い | 白色 | 色が分かれる |
ヤマメ | 少し緑がかる | 濃い | 黒色 | 赤帯がある |
このふたつを見分けるときは、体の色、パーマークの濃さ、斑点の色と側線に注意して見ればいいのですね!
これも混同されやすい「アマゴ」
「渓流の宝石」と呼ばれるアマゴですが、こちらもイワナやアマゴと混同されることがあります。
体長は大きいと50cmほどにまで成長しますが、30cmくらいになるとパーマークが薄くなってしまう個体も。海に降りる種類はサツキマスと呼ばれます。
見た目の特徴は、背中~お腹側の黒い斑点(黒点)と、指の跡にも見える長い小判型のパーマーク、そして体の側面に散りばめられた朱点(実際はオレンジ色に近い)です。
大きくなってパーマークが薄れてしまった個体でも、この朱点で判断できますね。
ニジマス
また、もうひとつ、河川に住んでおり釣りでも人気な魚に、ニジマスがいます。
大きさは40cm程度、海に降りるものはスチールヘッドと呼ばれますが、人為的に海水で養殖できるようになったニジマスもいます。それがお寿司屋さんでよく見られる「サーモン(トラウトサーモン)」なのです。おいしいですよね!
ニジマスは、たくさんある細かい黒点と、エラ~尾びれにかけてある、赤紫色の太い帯が特徴。上でご紹介した3つとは全く違う見た目ですから、これは間違えることはなさそうですね!
イワナとヤマメのハイブリッドとは?
ところで、「カワサバ」という魚を聞いたことはありますか?
このカワサバ、「イワメ」とも呼ばれ、イワナとヤマメが交雑した魚のこと。その名の通りサバのような模様が特徴です。
河川増水で生息域が混じったり、間違った場所へのそれぞれの放流で、カワサバが生まれることがあるとされています。
生殖はできないようなので、ひとつの種類として増えていくことは、いまのところないと言えます。
まとめ
2. 渓流の女王ヤマメは、緑がかった体と濃いパーマーク、黒点と赤帯が特徴
3. ふたつを見分けるときは、体の色、パーマークの濃さ、斑点の色、側線を見る!
4. アマゴもふたつに似ているが、朱点があるのでわかりやすいかも
5. 釣りだとニジマスも人気。海で養殖されたものはあの「サーモン」!
淡水魚にも色々いますが、今回は見た目が似ている魚のそれぞれの特徴や見分け方をご紹介しました。
釣りをしない方だと、なかなか目にする機会は少ないですが、水族館などでも渓流魚は見られます!
機会があればぜひ、ご紹介した特徴を思い出しながら観察してみてくださいね。