「アコヤ貝」という貝についてご存知ですか?
古くは仏教の七宝のひとつとされ、今でも冠婚葬祭で(もちろん普段使いにも!)大活躍する「真珠」を養殖する際、母貝となる貝です。ネックレスやブレスレット、イヤリングなどありとあらゆる宝飾品に使われている真珠という宝石を生み出すのがまさしくアコヤ貝なんです。
そんな養殖真珠とは切っても切れない関係のアコヤ貝ですが、実は食用にもなるのだとか。
真珠の母の気になるお味を、生態や特徴と併せてご紹介します!
アコヤ貝ってどんな貝?
英語では「Japanese Pearl Oyster」や「Akoya Pearl Oyster」と呼ばれ、牡蠣の仲間として分類されていることが名前からわかります。
大きさは10cm程度。波打った殻はホタテの殻にも似て見えますが、全体の形状としてはやはり牡蠣に近いですね。
ちなみに、「ウグイスガイ」というのは鳥のウグイスの羽に似た形だからなんだとか。
生息域は太平洋やインド洋の温かい海で、日本だと房総半島以南で見られます。
養殖では愛媛県や長崎県、三重県が主な産地となっています。
そしてアコヤ貝の特徴のひとつに、殻の内側の真珠層が挙げられます。七色に輝いて見えるアコヤ貝の真珠層はとても綺麗ですよね。
また、二枚貝なのに貝殻が左右対称にならないというのも大きな特徴。見た目に反して殻が柔らかいというのだから驚きです。
アコヤ貝といえば!「養殖真珠」
日本ではじめてアコヤ貝を使った真珠の養殖に成功したのは、1893年(明治38年)のこと。それは半円状の真珠でした。
その2年後、1907年(明治40年)に真円真珠に関する特許が取得され、色々な技術の改良を経て今に至る、というわけですね。
ちなみに、1950年代に養殖真珠の生産体制を確立させたことで、日本は養殖真珠の世界シェア9割!占めるようになりました。
しかし、1990年代半ば頃から、アコヤ貝の病気など様々な理由で、日本でのアコヤ真珠の生産量は低下してしまいました。
今、シェアを伸ばしてきているのは中国の香港。少しさみしいですが、ずっと一番でいるというのは難しいのですね。
食べられる?気になるお味
さて、そんな真珠の養殖には欠かせないアコヤ貝ですが、真珠を採ったらもう用無し?なんてことはありません。
貝なので食べることができるのですが、真珠の母のお味はどのようなものなのでしょうか。
まずはヒモの部分ですが、とてもまずくて食べられたものではない、という声が。
貝柱はどうかというと、ここはおいしく食べられるようです!
12月中旬から1月上旬の、真珠を取り出すために貝を開ける時期だけ味わえる特別な珍味であるアコヤ貝の貝柱。
通常、貝柱というとホタテのような丸い形をイメージしますが、アコヤ貝は勾玉のような形。大きさは2cmほどです。
生で食べるとコリコリとした食感で、ミル貝にも似ていると言われます。噛めば噛むほど貝の香りとコクが口に広がります。
また、人気なのが貝柱のかき揚げやバター焼き。火を通すとぷりぷりとして弾力のある食感に変わります。
更に、産地のひとつである三重県では、貝柱を粕漬にしたものが有名なのだとか。よく漬かった食感の良い貝柱は、お酒のおつまみに最適!?
真珠だけじゃない!貝殻の利用
真珠を取り出された後のアコヤ貝の貝柱は珍味ですが、それ以外にもアコヤ貝の利用法はあるのでしょうか。
ひとつは、真珠層を使ったアクセサリーなどの加工品。真珠も美しいですが、貝殻そのものの虹色の輝きもとっても綺麗。
昔は、真珠を取った後、貝殻はそのまま廃棄されてしまっていたそうです。しかしそれにより悪臭などが発生してしまい、海の環境も悪くなってしまったのだとか。
今は、貝殻の大半がお金をかけて廃棄処分されていますが、資源を活用したい!と様々な技術が研究されています。
他にも、観光客向けのワークショップの材料になったり、河川などの水質改善に役立ったり。
アコヤ貝は真珠だけでなく、色々な場面で利用されているのですね!
まとめ
2. 日本でアコヤ貝を使った真珠の養殖は明治時代に始まった!1950年代にはなんと世界シェア9割に
3. 身の部分はおいしくないが貝柱は貴重な珍味。刺身やかき揚げ、粕漬けに!弾力のある食感
4. 真珠を取った後の貝殻は、装飾品や水質改善などに使われる!
真珠はともかく、その母貝であるアコヤ貝を見る機会はなかなかありませんが、二枚貝なのに殻が左右非対称だというのは驚きですね。
そしてそんな貝殻をしっかりと閉じる貝柱は、限られた期間にしか食べられない珍味となると俄然興味がわきませんか!?
実はアコヤ貝の貝柱、通販でも購入できるのです。予約しておけば、12月~1月に届くというシステムになってるところが多いようです。
我こそはという珍味好きの方は予約してみては?