フグには毒がある、というのはほとんどの方が知っていることだと思います。
専門の料理店や特別な処置をしたフグのみが飲食店や店頭に出されます。法律で細かく決まっているため、資格などが無いと捌くことさえ一般人にはできません。
しかし昔から人気の絶えない食材でもあり、「河豚は食いたし命は惜しし」という言葉もあるほど(フグのお腹が膨らんだ様子がブタのようにみえるので、フグのことを河豚と書きます!)
その中でも知る人ぞ知る逸品なのが「トラフグの白子」ですが、フグの内臓だと考えると毒の心配はないのか不安になりませんか?
この記事では、前半はフグの毒について、後半はトラフグの白子の魅力についてと分けてご紹介していきます。段々食べたくなってきてしまうかも?
恐ろしいフグ毒「テトロドトキシン」ってどんな毒?
こちらはクサフグの写真です。
フグ毒として耳にすることが多いテトロドトキシン。アカハライモリやヒョウモンダコもこの毒を持っていて、非常に猛毒であることで有名ですね。
神経毒であるテトロドトキシンを食べてしまうと、早くて接種後20分くらい、遅くても数時間後から症状が現れ始めます。
この猛毒の効果か以下の通りです。
現在、テトロドトキシンの毒そのものに対する治療法や解毒剤は見つかっておらず、呼吸の確保などをして毒が体から排出されるのを待つ…という対処になります。
万が一中毒に陥ってしまっても、神経を破壊するタイプの毒ではないというのが不幸中の幸いでしょうか。
ですが危険なことに変わりはありませんので、充分に注意してくださいね。
フグの白子に毒はある?
絶対に白子を食べてはいけない(白子に毒がある)のは、食用とされる22種類のフグのうち4種類。クサフグ、コモンフグ、サンサイフグ、ヒガンフグです。
エサに含まれる有毒なプランクトンや真正細菌が体に蓄積されることで有毒になるという説有力なフグ。毒がある部分や強さというのは、種類と季節によって様々ですが、皮や血、卵巣だけでなく、身に毒がある種類もいます。
ちなみに、2009年にあった、フグの白子を食べたことによる集団食中毒。調べによると店主がフグに対して間違った知識を持っていたことが原因だとわかりました。
このとき提供されたのは、上にもある「ヒガンフグ」でした。身はおいしいのですが、皮や精巣などに猛毒を持つ種類です。
この事件によって、フグの白子には毒があると認識された方も多いかも知れません。実際は種類によるのです!
魅惑の「トラフグの白子」は奇跡の逸品!?
「天下の美味」だとか「奇跡」、「白いダイヤ」などと言われることもあるトラフグの白子。
濃厚でクリーミー、一度食べたら忘れられない味わいは、根強い人気を誇ります。
もちろんオスにしかないものですから希少価値は高く、3月から5月にかけての産卵期を迎える前、繁殖に向けて丸々と肥大した白子は、フグ本体よりも高値がつく高級食材なのです。
また、中国の春秋時代、傾国の美女とされた「西施」の乳に例えて「西施乳」とも呼ばれます。白く、ツヤとハリがある美しい見た目からでしょうか。
そんな名前がつけられるなんて、どれだけ愛されてきたかがよくわかりますよね。
「トラフグの白子」人気の食べ方は?
そんなトラフグの白子ですが、食べ方も様々。
基本の食べ方はやはり焼いたもの。素焼きでも塩をふってもおいしいです。生でも食べられるものなので、強火で焼き色がつく程度に短時間焼くだけでOK。レモンやすだちをかけるとさっぱりして香りもいいのでおすすめです。
口に入れると、カマンベールチーズのようになった外側がぷつりと裂け、中からとろりと白子が!やけどに注意?
少し工夫してムニエルにしても。
白子の味が濃いので、味付けは控えめでも充分楽しめます。
湯引きにするなら紅葉おろしとポン酢で。
ぷりぷりとした弾力も魅力です。
珍しいのはお刺身。
こちらもポン酢がおすすめです。
ほんの僅かな時期にしか食べられない珍味と言えますね。
そして外はサクサク、中はとろ~りでたまらないのが天ぷらです。
たらの白子も天ぷらにしますが、濃厚さはその比ではありません。
お塩でいただくと口の中に白子の風味が広がります。
日本酒との相性は抜群!
まとめ
2. 食用22種類のうち4種類は白子に毒があるので絶対に食べてはいけない
3. トラフグの白子は本体よりも高値がつくことがある高級食材。白いダイヤや西施乳という別名も
4. 焼き、ムニエル、湯引きや刺身に天ぷら。どの食べ方でも濃厚で非常に美味
昔から、死を覚悟してでも食べたいほどおいしいとされてきたフグ。
その中でも更に特別な白子は、多くの美食家たちを唸らせてきました。
トラフグの白子の旬は秋の終わりから冬にかけて。
もちろん一年を通しておいしいのですが、機会があればぜひ、一番おいしい時期の白子をご賞味くださいね!