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「きびなご」と「いかなご」は仲間?なんの稚魚?その違いは?

投稿日:2025年1月23日 更新日:

突然ですが、そもそも「きびなご」と「いかなご」って聞いたことありますか?

私の出身地では「きびなご」がよく獲れるので、食卓でもなじみのある魚だったのですが、実家を離れてから「いかなご」という魚がいることを知りました。普段気にしていない方も多いかもしれませんね。

そして、実家のまわりのスーパーでは魚売り場にシーズンになると、必ず置いてあった「きびなご」を全く見かけないことに気づきました。

いつも「きびなご」のことを考えているわけではないので、実家に帰省してきびなごを食べた時に「あ、そういえば見かけないな」と思い出した程度ですが。

関東の人に聞いてもそんなに知名度が高いわけではない「きびなご」そして、関西では割とポピュラーですが、これも関東の人はなかなか馴染みのない「いかなご」について掘り下げていきたいと思います。

「きびなご」ってこんな魚!

まずは私にとっては馴染み深い「きびなご」についてご説明していきましょう。

きびなごは、ニシン目・ニシン科に分類される魚の一種で、本州の中部からオーストラリア、インド洋や西太平洋の熱帯・亜熱帯地域にまで広く生息しています。

その大きさは成魚でも10cm程度にしかならない小魚です。

そして、外洋に面したきれいな水の沿岸域を好み、水から出たらすぐに死んでしまう、と言われるくらい敏感です。

群れで回遊していて主に動物プランクトンを補食していますが、群れで行動しているがために、天敵のサバやカツオ等の大型の魚にとって格好の餌食になります。

日本だと鹿児島や長崎、高知等の暖流に面した地域が産地として有名です。かく言う私も鹿児島でお刺身を美味しく頂いた経験が何回かあります。地元の居酒屋では定番の夜のお供のようでした。

このように産地では、きびなごのお刺身を食べたりできるのですが、きびなごは足が(痛むのが)早いこともあって、お刺身どころか、なかなか産地以外できびなごにお目にかかることは少ない魚でもあります。

ただ活用の幅は広く、から揚げや天ぷら、南蛮漬け等いろいろな料理に活用することができます。

きびなごの出汁もあるんですよ。
料理によっては骨までまるごと食べることができるのでカルシウムたっぷりですね。

小魚のわりには、身のしっかりとしているので意外と食べ応えがあります。
また、きびなごはさばき方にも特徴があります。
主にお刺身にする時に使われる方法なのですが、包丁は使わずに手で開く手開きで内臓や背骨を取り除きます。
それだけ体が小さくて身が壊れやすいということですね。

ちなみに、「きびなご」の名前の由来は、諸説ありますが、きびなごの体の中央にある青い模様が着物の「帯」に見えること、鹿児島で帯のことを「キビ」と言うことから来ているというのが有力だと言われています。

「いかなご」ってこんな魚!

では続いて、「いかなご」についてご紹介していきましょう。
いかなごというのは、スズキ目・ワニギス亜目・イカナゴ科に分類される魚で、稚魚は「コウナゴ」と呼ばれたりしています。

「いかなご」は漢字では「玉筋魚」と書きますが、名前の由来としては、これも諸説ありますが一度に大量に獲れるこの魚が一体なんの魚の稚魚なのかわからない、なんの稚魚だ?という意味合いで「如何子」と書かれたのが始まりとされていますが。

でも、「いかなご」はあくまでも「いかなご」なので、何か他の魚の稚魚というわけではないんですよね。

北半球の寒帯から温帯を中心に熱帯域まで、とその生息範囲は広く、主にプランクトンを餌としています。
大きさは3年から4年もの歳月をかけて20cmくらいまで成長すると言われているので、きびなごよりは大きな魚ですね。

「きびなご」は小さいので、蛙の子はおたまじゃくし、みたいな感じで何か大きな魚の稚魚かと思っていました。

そして「きびなご」も「いかなご」も「なご」繋がりで同じ仲間かな、ということはいかなごも何かの稚魚?と思っていたのですが、きびなごはニシンの仲間、いかなごはスズキの仲間、とのことで、「きびなご」と「いかなご」は全然仲間じゃありませんし、そもそも「きびなご」は「きびなご」だし「いかなご」は「いかなご」でした。

いかなごと言えば有名なのは、関西のお土産でも売っている「いかなごの釘煮」でしょう。
いわゆるご飯のお供で、いかなごの幼魚を醤油やみりん、生姜等の調味料で煮詰めたものです。
想像するだけで、よだれが出てきそうですね。

釘煮は黒豆のように実際に釘を入れて調理しているのではなく、煮込んだいかなごの曲がった姿がさびた釘に似ている、というところからそう呼ばれるようになったようです。
関東のスーパーでもたまに置いてありますが、関西に行った時には是非食べてみてください。

そんないかなごですが、実は最近は乱獲や生育環境の悪化や破壊によって、漁獲量が減少しているという悲しい事態に直面している魚でもあります。

まとめ

ここまで「きびなご」と「いかなご」についてご説明してきましたが、簡単にまとめると、

1.きびなごは、ニシン目・ニシン科に分類される魚の一種で、成魚でも10cm程度にしかならない小魚。
お刺身やから揚げ等、活用できる料理はたくさんあるが、痛むのが早いのであまり全国に出回らず産地を中心に食べられている。

2.いかなごは、スズキ目 ワニギス亜目イカナゴ科に分類される魚で北半球に寒帯から温帯を中心として熱帯まで、幅広く生息している。
有名なのは釘煮だが、近年漁獲量が減っている。

きびなごといかなごは仲間じゃなかったし、世の中にはわからないことがまだまだたくさんありますね。

きびなごのお刺身といかなごの釘煮を両方食べるとすると、どちらにしてもどこか西日本の方に行かなくてはいけなそうですね。

そちら方面に行く予定のある方は、きびなごやいかなごを食すことも旅の予定に組み込んでみてはいかがでしょう?
個人的にはやはり鹿児島に行くのがおススメです。
鹿児島市中心部の天文館でも食べられました!

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