「アワビ」といえば高級食材としてお馴染みだと思いますが、「トコブシ」という海産物を知っていますか?
ちなみに私は、トコブシもアワビも聞いたことも見たこともあったのですが、それぞれ別な生き物だとは知りませんでした。どちらも同じものだと思っていました。
もっと言えば、トコブシが成長したらアワビになるのかな?成長過程で呼び方が違うのかな?くらい軽い気持ちで勝手に解釈していました。
今思えばまったく理解していませんでした。
でもそれは不思議ではありません。
なぜならトコブシもアワビも素人目には同じに見えるくらい、とっても似ているんです!
実際トコブシもアワビに負けない海産物ですが知名度としてはアワビに勝てませんよね。
でもお話ししたように2つは違うものですので、トコブシとアワビについてそれぞれの生態と見分け方等をしっかりとお伝えしていきたいと思います。
トコブシの生態と特徴を教えて!
まずは、「トコブシ」についてその生態と特徴をお伝えしていきましょう。
トコブシは生物学上、軟体動物門腹足綱ミミガイ科の藻食性の巻貝の一種とされています。
日本固有の亜種で、生息地は北海道南部や男鹿半島の南等の日本全国の潮間帯から水深10mぐらいまでの比較的浅い海の岩場に分布しています。
大きさは長さ7㎝前後、幅5㎝前後で手のひらに乗るくらいの大きさです。
見た目は大型のアワビの子供に似ているので、アワビと間違われることもよくあります。
これが一番2つを見分けやすい方法だと言われていて、トコブシは穴が6個から9個あいています。
生殖時期は9月から10月で、他の貝と同様に雄と雌がそれぞれ精子と卵子を水中に出して、体外受精を行って繁殖します。
卵の色は褐色です。
地方ごとにナガレコ、ナガラメ等の呼び方があります。
アワビの生態と特徴を教えて!
では続いて、アワビについてご説明していきましょう。
アワビはミミガイ科の大型の巻貝の総称で、様々な種類が存在します。
ミミガイ科である、という点はトコブシと同じなので見た目が似ていることもうなずけますね。
生息地は日本の北海道南部から九州や朝鮮半島等の干潮帯付近の水深20m程度の岩場に生息しています。
大きさは長さ、幅とも20㎝前後にまで成長して、形は楕円形です。
トコブシと比べると大きさが2倍くらいあるんですね!
見た目同じじゃん!と思っていましたが、それだけ大きさが違うということを知っていれば、今後間違うことはなさそうです。
生殖時期は、トコブシが夏から秋ごろなのに対して冬で卵の色は緑色です。
こうしてみてみると、トコブシとアワビの大きな違いは3つ、見分け方は2つというところでしょうか。
【見分け方】
①大きさ:トコブシはアワビの半分くらいの大きさ
②殻の穴の数:トコブシは6個から9個、アワビは4個から5個
【生態の違い】
③卵の色と産卵時期:トコブシは夏から秋にかけて産卵し、卵の色は褐色、アワビは冬に産卵し卵は緑色
トコブシとアワビそれぞれの美味しい食べ方は?
「トコブシ」と「アワビ」の生態と特徴についてご紹介してきましたが、肝心のお味の方はどうなんでしょう?
分かりやすい違いはあるのでしょうか?
種類が違うことは分かりましたが、やはりその点が気になりますよね。
まずトコブシですが、食感は柔らかいのですが、火を通しすぎると固くなってしまいます。
一方、アワビはコリコリしていて歯ごたえのある固めの食感ですが、逆に火を通すと柔らかくなります。
ただ、味はそんなに大きな差はありませんし、同じ貝類なので用途の違いなどはないようです。
ということは、トコブシも相当美味しいということですね!
あえて違いがあるとすれば、アワビは刺身以外にも干しアワビ等の加工品としても重宝されていて高価、というくらいです。
そのまま網焼きして醤油を垂らしたり、バターソテーしたり、蒸したり…想像しただけでよだれが出そうですね!
まとめ
1.トコブシは、軟体動物門腹足綱ミミガイ科の藻食性の巻貝の一種で日本固有の亜種。
手のひらに乗るくらいの大きさで、見た目は大型のアワビの子供に似ている。
地域ごとにナガレコ、ナガラメ等の呼び方がある。
2.アワビはミミガイ科の大型の巻貝の総称で、様々な種類が存在している。
トコブシとアワビの大きな違いは①大きさ②殻の穴の数③卵の色と産卵時期
3.トコブシもアワビも同じ貝類なので用途で違いはないが、食感が異なる。
トコブシは柔らかくてアワビはコリコリしていて固い食感。
「トコブシ」と「アワビ」、2つは違うということがわかりましたが、味も用途もそんなに違いがない、ということであれば食材としてはトコブシの方がお得なのでは?と思ってしまいました。
ただ、スーパー等でもアワビはたまに見かけてもトコブシって見かけないんですよね。
今度見かけたら買って「これはアワビ」と思って食べてみようと思います。
お得感でより美味しさが増すかもしれません。