鮒寿司を食べたことはありますか?西日本では昔から食べられていましたが、関東以北の方にはあまり馴染みがないかもしれませんね。
独特のにおいとコクのある酸味が癖になる鮒寿司。ここではその歴史と、食べ方についてご紹介します。まだ鮒寿司を食べたことがないあなたも、これを読めば食べてみたくなるかも?
鮒寿司って何?
鮒寿司は二段階で漬け込まれている食べ物で、はじめは鱗と内臓を取って、お腹に塩を詰めたニゴロブナを塩と交互に樽の中に並べ入れ、塩漬けにします。
その後、取り出したニゴロブナを塩抜きし、今度はお腹の中にご飯を詰めます。樽の中にご飯とニゴロブナを交互に敷き詰め、重石を使ってしっかり空気から遮断して発酵させます。これが鮒寿司になります。手間がかかっていますね!
最初の塩漬けの工程を「塩切り」といい、次の工程で使うご飯を「飯(いい)」といいます。
春に採れたニゴロブナを使って作りますが、塩切りは夏の土用まで、飯に漬けた後、晩秋のころには食べられると言いますが、もっと長く漬けているものもあり、20年もの、30年ものも!そこまでいくとほぼ液体になってしまいますが、好きな人だとそれをおつまみにお酒を飲むのが楽しみだとか。
また、鮒寿司をはじめとする熟れ寿司は、においが強いというのも有名です。とは言え、においの強さを表す数値では納豆より少し高いくらいなので、意外に?控えめですね!
いつから食べられているの?
熟れ寿司の歴史は古く、平安時代中期にはすでに色々な種類の熟れ寿司が食べられていました。やはり魚や貝類のものが多いですが、中にはイノシシやシカの肉を使ったものも!また、この頃からすでに鮒が使われていることがわかる記録があります。
ちなみに、東南アジアなどでも熟れ寿司は作られており、中国、台湾、タイやカンボジアでも!魚の貯蔵方法として熟れ寿司に似たものを作り、食べられています。
熟れ寿司もお寿司なの?
あなたは、「寿司」と聞いて何を想像しますか?
私たちが普段、食べる機会が多く、また「お寿司」と聞いて想像するもの…それも「寿司」ですし、「熟れ寿司」も「寿司」なのです。
そもそも、魚、塩、米を使い、乳酸発酵させることで酸味を出す熟れ寿司こそが本来のお寿司の姿でした。そこから、江戸時代ころに酢飯を使うことで酸味を出した「早ずし」の人気が出て、その後寿司の主流となりました。
早ずしには押し寿司や棒寿司、包み寿司などがありますが、その中でも「江戸前寿司」が、今日の外食店で主流になっていますね。チェーン店や100円寿司が増え、いつでも好きなときに食べられるようになりました。
そんな鮒寿司を美味しく食べてみよう!
食べ方その1 そのまま
では、鮒寿司を食べてみましょう!と言っても、はじめての方は特に、どうやって食べるものなのかわからないですよね。
基本的に、鮒寿司をはじめとする熟れ寿司は、漬けるのに使われていた飯は食べませんので、軽くしごき取ってしまいましょう。
そのまま食べるときは、3~5mmくらいの厚みにスライスしていただきます。
メスの場合、卵の部分はチーズのような香りと食感で、また違った味わいが楽しめます。身も卵も、日本酒との相性は抜群です!
食べ方その2 お茶漬け
スライスした鮒寿司を2~3切れと飯を少し、ご飯の上に乗せて、お好みで塩を振ります。(お醤油でもおいしいです。色々試してみてください!)
上から熱いお茶をかけると、マイルドになった酸味とコクがとってもおいしい!お茶漬けになります。
寒い日に食べると体も温まるのでイチオシです!
食べ方その3 お吸い物
こちらも簡単、鮒寿司2~3切れをお椀に入れ、熱いお湯をかけて数分蒸らすだけ!ほんのり脂のコクと、鮒寿司の旨味が体に染み渡るよう。薄めのお出汁を入れてもおいしいです!頭やしっぽをお吸い物にするのもおすすめ。
食べ方その4 変わり種?
鮒寿司は魚を使った発酵食品ですので、アンチョビのように使ってもおいしいのです。
チーズと共にクラッカーに乗せて食べたり、パスタに使ったりはもちろん、マッシュルームやいんげん豆と炒めればあっさり、ニンニクとウインナー、じゃがいもと炒めればビールのおつまみにぴったり…と、色々な楽しみ方ができます。
まとめ
平安時代から食べられていた、歴史ある鮒寿司。今は通販などでどこにいても手に入れられるようになりました。そんな鮒寿司についてのまとめです。
2. 春に漬け始めたものは晩秋のころに食べられるようになる。
3. 鮒寿司をはじめとする熟れ寿司は平安中期ころにはもう食べられていた!東南アジアなどでも似たものがある
4. 元々は熟れ寿司こそがお寿司の本来の姿。今主流のお寿司は江戸時代に流行した「江戸前寿司」と呼ばれるもの
5. 鮒寿司の食べ方は色々ある!アンチョビのように使う方法も
発酵食品がお好きな方はきっと気に入るはず?な鮒寿司。食べたことが無い方は、ぜひチャレンジしてみてください。
元々お好きな方も、まだまだ色んな食べ方がありますので、試してみてくださいね!