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イルカ?クジラ?今さら聞けないアイツらの正体をすっきり解明!?

投稿日:2019年2月12日 更新日:

イルカショーで活躍してくれるイルカたち。とってもかわいいですよね!
イルカに会いたくてわざわざ水族館を訪れる人も少なくないはず。
しかし、いざショーが始まると、なにやらイルカじゃない生き物が一緒に泳いでいるのを目撃!

あの子はイルカなの!? それともクジラなの!? という素朴な疑問を抱いてしまったあなたに、ややこしいイルカ・クジラ族の正体をすっきり? とご紹介します。

そもそもイルカとはクジラとは

まず結論から申し上げますと、イルカ=クジラです。
イルカもクジラも同じ「鯨偶蹄目・クジラ目」(大きく括るとクジラとウシ(!)のグループで、ウシかクジラかで言うとクジラです、という意味)です。ちなみにカバとは親戚のようなものなんですよ。今日から使える豆知識。

このクジラ目の下の階級である「ハクジラ亜目」に該当するクジラの中で小型のものを「イルカ」と我々は呼んでいます。

その境目は体長が「大体4メートル」です。しかし大きさで分類して名付けたのではなく、そう呼ばれている生き物を分類すると大体そういう区分が見えてくるだけのことです。つまりたまたまってことですね。

オキゴンドウ

水族館でイルカショーに一緒に出演している謎の子ランキング第1位。

黒くて大きいあの子の名前はオキゴンドウです。
クジラ目マイルカ科オキゴンドウ属オキゴンドウ。

体長は最大6mにも達します。性格が人懐っこいのでショーにも頻繁に起用されます。
日本近海にも生息していて、漁の網にかかった魚を食い荒らすことから漁師には嫌がられてしまうクジラです。

別名はシャチモドキ、キュウリゴンドウ。
英名がFalse Killer Whaleなのでニセシャチ、シャチモドキなんですね。外見はそんなに似ていないと個人的には思います。キュウリの方が100倍似ています。
他の共通点としてシャチ同様他の小型のクジラを捕食するとか。果たしてオキゴンドウをイルカプールに一緒に入れていていいのでしょうか。

シャチ

シャチはクジラ目ハクジラ亜目マイルカ科シャチ属シャチです。
黒い体に特徴的な白っぽい灰色の模様、目の上のものをアイパッチ、背びれの横のものをサドルパッチと呼びます。
アザラシやペンギンを襲う映像のイメージが先行しますが、魚を主食にするタイプも存在しています。

2015年のデータですが、水族館にいるシャチは57頭です。日本には7頭、鴨川シーワールドと名古屋港水族館にいます。

体長は雄5.8~6.7m、雌4.9~5.8m。
マイルカ科最大の種であり、最大級の雄は体長9.8mにも達します。
約10mというと一般的な電柱の高さくらいです。おっきいです!
雄の背びれは最大2mにもなります。元・横綱の曙が2m3cmです。おっきいです!

あれ? おっきいということは、シャチはクジラなの? 

こんがらがってきましたが、遺伝子的な区分で言うとマイルカ科に入ってはいます。
しかし一番近い仲間はゴンドウクジラです。

こんな時、筆者は思います。この問いに白黒付ける必要はないと。シャチだけに。

ハナゴンドウ

昔々、旧・江ノ島水族館には「ヨン」という名の長生きのハナゴンドウがいました。
高齢で引退した後も、ショーの音楽に合わせて小さな体を揺らしてダンスを踊る姿は年月を経た今も目に焼き付いています。
そう、小さな体で。ということは、ハナゴンドウはイルカなのでしょうか?
詳しく分析していきましょう。

ハナゴンドウは、クジラ目ハクジラ亜科マイルカ科ハナゴンドウ属です。
体長は3.8mほどで、最大4m。

別名マツバクジラ、マツバイルカ。学名はGrampus griseus(灰色のクジラ)英名Risso’s Dolphin(発見者の名前+イルカ)。
名付けからしてイルカとクジラがごっちゃごちゃです。これはいけません。
専門家ですらこの状態なのですから、素人にはっきりさせようがありません。

ハナゴンドウは4mを越す個体はほとんどいないという話ですが、もしあえて区分を付けるなら小さなクジラという風に呼んだ方がしっくりくるような気がします。

このように、イルカ・クジラ論争は答えのない迷宮のようなものでもあります。

ベルーガ

海のカナリヤとの呼び声高い、ベルーガことシロイルカはクジラ目ハクジラ亜目イッカク科シロイルカ属です。
イッカク科とは、北極圏を棲みかとし、環境に適応した結果、背びれが消失もしくは小さくなっていることを特徴とするクジラのグループです。

体長は雄5.5m、雌4m。イルカと名の付く割には大きいです。なので、シロクジラと呼ぶこともあります。
結局どっちなのよ! と、もやもやしますが、前述の通りそこに明確な答えを導き出すことは不可能なのです。

筆者はシロイルカの方が良いと思います。だってかわいいもの。

ベルーガという名前はロシア語で白という意味です。
しかし、ベルーガの赤ちゃんは白くありません。黒いです。これではチョールナヤです。
ベルーガの赤ちゃんは7年かけて名実ともに白くなっていきます。赤ちゃんが白いアザラシとは逆ですね。
ベルーガの赤ちゃんが生まれた! というニュースはめったに聞くことがありませんが、もしどこかの水族館で生まれたら是非見に行ってみたいものです。

まとめ

水族館でよく見るアイツらの正体はわかりましたか?
イルカとクジラの区分なんて、所詮人間が勝手につけたもの。

彼らには彼らの生き物としての神秘の歴史があって、我々はそのひとかけらを、遺伝子の研究や生態調査などによりわずかにうかがい知ることが出来るのみで、実はなんにも知らないのだということを思い知るばかりです。

・イルカとクジラの区分は大きさ4mだが、この限りではない

・イルカショーで一緒に飛んでいる黒いクジラはオキゴンドウ

・シャチはシャチ!(遺伝子的にはオキゴンドウと近縁)

・ハナゴンドウは小さい上に名前の時点でクジラとイルカがごちゃ混ぜ

・ベルーガは大きいけれど、クジラとはふつう呼ばない

もやっとしていた疑問がちょっとすっきりしたところで、イルカやクジラたちに実際に会いに行ってみるとまた違った表情が見られるかもしれません。
週末はお近くの水族館へ行ってみてはいかがですか?

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