いきなりですが問題です!「青箭魚」と書いて何と読むでしょうか?
クイズ番組の最終問題に出てきそうな難問ですね。「こんな単語初めてみた!」「えー!これって何て読むの?」と思った方も多いはず。 漢字の読み方って、日本語って本当にむずかしいです。
「青箭魚」は「サゴシ」と読みます。
魚の名前なのですが、あまり魚を食べない方はサゴシという魚にピンとこないかもしれません。
知っている方でもサワラと似た魚くらいの認識でいる方も多いのではないでしょうか。
サゴシとはいったい何者?
結論からいうとサゴシはサワラです。サワラの子供がサゴシと言ったらわかりやすいでしょうか。
サワラはブリと同じ出世魚といわれ、成長するにつれて名前が変わっていく魚です。地域によって少し違いますが、サゴシ(サゴチ)、ヤナギ(ナギ)、サワラと呼び方が変わります。
サワラはだいたい1年で40~50センチ、2年で60~70センチ、3年で80センチほどの大きさになるのですが、それに合わせるように呼び方も変わっていきます。
サワラは成魚になると1メートルを超える大きな魚で、寿命はオスで6年、メスで8年ほどだといわれています。
出世魚サワラの生態
サワラはスズキ目サバ科に属する魚です。
カツオやマグロも同じサバ科の仲間で、カツオやマグロと同じように背中から尾にかけて小離鰭(しょうりき)というギザギザのヒレがあり、泳ぐのがとても得意な魚です。
細長い剣状の体に黒い斑紋があるのが特徴で、カタクチイワシやいかなごなどの小魚を食べて育つ肉食の魚です。
大きな口と立派な歯でイカ、エビやカニなどの甲殻類も食べてしまいます。
サワラは漢字で「鰆」と書きますが、実はもうひとつ「狭腹」という漢字もあります。この「狭腹(サワラ)」が名前の由来と深く関係しています。
サワラは細長い体をしているので「狭い腹」から「狭腹」と呼ばれるようになったといわれています。サワラの若魚、サゴシも 「青箭魚」 のほかに「狭腰」と書きますが、これも「腰回りが狭い」ということでこの漢字が用いられました。
ふたつの旬をもつサワラ
サワラの旬っていつか知っていますか?「魚へん」に「春」と書いて「鰆(サワラ)」なのですから旬は「春」のような気がしますよね。
それも間違いではないのですが、実はサワラの旬は12月から2月にかけての「冬」なんです。冬にとれるサワラは「寒鰆(かんさわら)」といいます。
関東でとれる寒鰆は脂がのっていてマグロの中トロに匹敵するくらいの高級魚ともいわれています。特に、新鮮なサワラの刺身は「刺身の王様」といわれるほど美味しいのだそう。ぜひ一度食べてみたいものです。
サワラは春になると産卵のため瀬戸内海に集まります。このことからサワラは関西で「春を告げる魚」といわれて親しまれているのです。
たくさんとれる春の旬と脂がのり美味しくたべることのできる冬の旬、サワラにはふたつの旬があるということなんですね。俳句でも「鰆」は春の季語として、「寒鰆」は冬の季語として使われているんですよ。
それって本物のサワラ?サワラでも種類はいろいろあります。
サワラはスズキ目サバ科に属する魚と説明しましたが、その後さらにサワラ属のサワラと分類されます。
この中のサワラ属という種類は全世界で18種類いるといわれています。
日本の近海でもサワラの他に、ヨコシマサワラ(横縞鰆)、ヒラサワラ(平鰆)、ウシサワラ(牛鰆)、タイワンサワラ(台湾鰆)と4種類のサワラ属の仲間がいます。この4種類はどれも食用とされていますが、やはりサワラの方が味が良く高級とされているため、サワラはこれらとわけるように「本サワラ」とよばれることがあるようです。
スーパーでサワラを見つけたときはぜひ表記のしかたをチェックしてみてくださいね。もしかしたらサワラではなくサワラ属の他のサワラかもしれませんよ。
まとめ
「青箭魚」の読み方、答えは「サゴシ」でした!
2. サワラは泳ぎの得意な肉食の魚。「狭腹(サワラ)」の名前の由来が細長い見た目から。
3. サワラの旬は「春」と「冬」のふたつ。新鮮なサワラの刺身は絶品!
4. サワラの中でも種類がある。「本サワラ」と書かれているもの探してみよう。
サゴシもサワラも酢の物やカルパッチョ、煮つけ、竜田揚げなどたくさんのレシピがあります。
サワラは高級といわれていますがサゴシはリーズナブルで家計にやさしい魚です。
たんぱく質やビタミン、カリウムなども含まれていて栄養価たっぷりなのでぜひオススメしたい食材です。